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成長(変化)を考える

物語の中で起こる変化

唐突ですが、私たちは物語で何を描けばいいのでしょうか?

おそらく様々な答えがあると思いますが、その中でも最も意見の多いものの一つに「成長」があると思います。主人公やその周りの人々は、物語における様々な出来事を経験して何らかの成長をしていきます。様々な苦難があってもその後の成長があるからこそ、視聴者は満足感を得られるのでしょう。困難が強ければ強いほど、それによって得られる成長や変化は価値が高くなると思われます。

「成長」を表現するプロセスは、化学の実験に似ているような気がします。
物質触媒が反応して、何か違う物質に変化する。
重要なのは、まったく関係ないものに変わってしまうわけではないところです。錬金術で他の物質から金を作ろうとして、どうやってもできなかったのと同じように、全然関連のないものにいきなり変わってしまうことは起こらないし、それは成長とはいいません。

変化する可能性が主人公の中に潜んでおり、それが何らかのきっかけ(触媒)に出くわすことで化ける

…このような結果、視聴者が見てプラスだと感じる変化だった場合、それを成長というのだと思います。

物語は、最初があって終わりがあります。最初のところで、何が化けるのかを示し、触媒にあたる人との出会いや別れ、主人公の目的を妨害する障壁などにぶつかり、様々な化学反応が起こり、最後に変化の結果を示す。

成長(変化)を描く物語の基本構造はこういうものになっていると思います。原因と結果の因果関係がちゃんと描かれていないと理不尽な物語になってしまいます。気をつけてください。

「成長」以外にも物語の中で描かれる対象はいろいろあると思いますが、多くは「何か」の変化でしょう。何がどのように変わるのか、そのことで何を示すことができるのか。つまり「変化」で何を表現しようとしているのか。そこを忘れて物語を紡いでいると、結局何が言いたかったのかわからないものになってしまうかもしれません。