CG・アニメーション演習4 第2回 企画について [2009年度]
どうすれば面白い企画が作れるか。
簡単にいえば、「面白い!」「便利!」「嬉しい!」と感じることをやることに尽きる。
それがどんどん思いつく人は、それをやればいい。
以下に書くのは、それがよくわからないという人向けのグダグダ考えるためのテキスト。
考える基礎編
企画とは、
- 新しい案を出すこと。
- 計画すること。
- アイデアを出すこと。
新しい案であれば何でもいいのかというとそうではない。
誰かが望んでいる、もしくは、望むだろうという案でなければならない。
では、人が望むものは何かを考える必要がある。
- 楽しいこと
- 気持ちいいこと
- 生活が楽になること
- 困ったことが減ること
- 人生が豊かになること
これらを全て統括すると、「幸福になること」といえる。
では、幸福になるにはどうすればいいのかがわかれば、企画の指針はできる。
幸福になる要素を提供できれば、みんなが望む企画になるに違いない。
その前に「幸福」とは何かを知らなければならない。
- 幸福って何ですか?
- どういう状態が幸福なんでしょうか?
- 幸福って感じるのはどんなときですか?
記憶
人は記憶することで人生を作ることができる。
自分を自分だと思えるのは、1時間前の自分、1日前の自分を覚えているから。
生まれて今に至るまで、自分が一個の個人だと信じることができるのは、記憶の力だ。
脳に記憶するという機能があるからだ。
記憶の中身を気に入っていれば幸福な人生といえるし、気に入ってなければ不幸な人生といえるだろう。
つまり、いかに幸福になるかは、いかに自分が有益だと思える記憶を貯めていけるかにかかっている。気に入らない記憶より気に入っている記憶が多ければ幸福な人生なのだ。
快楽
脳が幸福な状態とは、快楽を感じている状態のことをいう。
つまり、気持ちいい状態。
快楽は様々な要因で手に入れることができる。
一番直接的なのは、脳の中の快楽物質を引き出すこと。薬物などが考えられる。
しかし、これが危険なのはよくわかっていると思う。
本来、快楽ではないはずの状況なのに薬を使って気持ちよくなっているだけだからで、自然な状況ではないし、薬なしで継続することができなくない。また依存症などを引き起こす。危険なものはもちろん違法。
快楽物質は薬などを使わなくても分泌される。楽しいときや気持ちいいときは、快楽物質が出ているのだから。
一番本質的な快楽は、生命の存続を増進させること。
生命活動にとって、必要とされていることを満たすと快楽と認識される。
食べ物を食べたり、排泄したり、性行動したりという、動物的と思われている行為。
これらは、本質的に生命に直結した行動で、一番強い欲求。
特に食べることと、排泄はかなり強い衝動である。
少し間接的になるが、社会的に認められることも快楽である。
親に褒められたり、試験に受かったり、良いと思う集団の一員となったりすること。
これらは、直接生命とは関係ないが、間接的に生存を有利にする。
同じようなものに、結婚なども考えられる。
子供が遊園地で親とはぐれて泣くのはなぜか。
子供にとって、親は自分の生存にとって無くてはならない存在。
そんな親とはぐれてしまうことは非常に危険な状況であり、
その状況を「怖い」「寂しい」という不安感として脳は感じる。
逆説的になるが、不安や恐怖という幸福の反対の状況を改善できると快楽と感じる。
先ほどの子供の例でいうと、はぐれていた親と再会したとき、安心する。
安心とは幸福な状態である。
他にもあるかもしれないが、このような快の状況を生み出すことを望む人は多い。
良い企画は、直接的か間接的かの方法で快になるアイデアで構築されている。
復習すると、
- 気持ちいいこと
- 生命の存続に貢献すること
- 社会的ステータスが高まること
- 欲望を満たすこと
- 不安や恐怖をやわらげること
面白いと感じる番組を見たり、無駄と思えることが減ったりというような、「面白い」とか「便利」という思いの根源は、上のようなものからきている。
僕たち人間は動物であり、ミミズや昆虫や動物たちと同じように、生命を存続させることを望み行動しているため、基本的に本能には逆らえない。
その本能のシステムとは、「快」か「不快」をトリガーに行動決定している。
しかし、人間はシンプルな動物では取らないはずの行動をする。
それが薬物で快楽を得たり、映画を見て楽しんだりという生存とは関係ない、イレギュラーな行為だ。どちらも無くても死ぬことはないため、本来必要ないはずなのだが、その快楽が強いため望む人が多いのだ。
ゲームにハマってご飯を食べるのを忘れたとか、徹夜するとかは、本来ありえない行動である。そういう生命活動で重要で強い欲求を退けるほどの強い快楽を与えるのが、僕たちが学んでいるアニメーションやゲームなどのマルチメディア・コンテンツである。
なぜ、それほどまでに面白いものが作れるのか。
アニメーションやゲームは、様々なものを刺激する。
光や音を駆使して視聴者を虜にする。
しかし、たくさんの作品を見てきた僕たちは、面白いものと面白くないものを区別する。
何が面白くて、何が面白くないのか。答えは上に述べた中に集約されていると思う。
【記憶】【生存】【快と不快】
大雑把にいえば、これらに集約されるのではないか。
記憶に関すること
- 新しいこと
- 過去の記憶にふれること
- 以前の類似した快の記憶を利用すること
生存に関すること
- 本能的な欲求に答えること
- 社会的優位な状況を作れること
快と不快
- 気持ちいいこと
- 気持ち悪いことが取り除かれること
実践編
・切り口を考えよう!
・共感
・意外性
・刺激
・社会性
・美
・新規性
・謎
・補完
・需要と供給
アイデアの出し方
脳のしくみを理解しよう。
脳は脳神経が組み合わされたものだ。たくさんの神経細胞=情報がつながり、関係を作ることが「意味」を作り出す。
情報は単体ではただの情報にすぎず、情報と情報がリンクすることで意味は生まれる。
つまり、たくさんの本を読んだり、WEBサイトを見ているだけでは新しいアイデアは生まれないということ。
そうやって取り入れたたくさんの情報同士をつなぎ合わせることが必要だ。
主に、それらは脳の活動が少ないときに行われる。寝ているときとか、トイレに入っているとき、風呂に入っているときなど。
情報のインプットを一生懸命やっているときは、インプットするのに必死で整理している暇がない。
発想(アウトプット)するときは、インプットするのを止めよう。歌詞のある歌を聴いたり、映画を見たりしてはいけない。
目をつぶって思いをめぐらせたり、散歩したり、パソコンやテレビなどといったものから離れよう。
何かに一生懸命になると駄目で、余裕がないといけない。自転車を高速で走らせたりするのは余裕がなくなるので駄目。
しばらく一切の情報源から遮断すれば、いろいろなことを思いついたり、考えたりしだすはずだ。
思い浮かんだものを更に頭の中で自由に転がせよう。
そして、大事なのはいいアイデアだと感じたら、絶対にメモをすること。
脳は、問題を解決したと感じた情報は捨ててしまう可能性がある。
忘れないうちにメモをする。だから、メモする道具は常に持っていなくてはならない。
- テーマを決める
- いいネタを見つける
- 調べまくる(脳に情報をインプットする)
- 集中して考える
- 一切情報源から自分を遮断する
- 散歩、図書館や喫茶店や公園等で仕事するなど