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CG演習2-第3回-2007

ストーリーの考え方

 面白いネタを探す

「これは面白いな!」もしくは「面白くなりそう」と思うネタを探します。

これがうまくいかないとかなり苦労します。悩んでる学生でよくあるのが、すごく漠然とした抽象的な言葉を頭の中だけで思い描いてるような状態です。うまくいかない人に「なんかこう、こんな感じ?」っていう人がすごく多いです。具体性が無さ過ぎるんですね。

頭の中でモヤモヤ考えてるだけではなかなかイメージはまとまらないものです。積極的にネタを探すようにしましょう。テレビで見たことでも日常で気になっていることでも何でもいいですが、何か気になる、もしくは、面白いと思う事柄をメモしてください。メモはどれだけしてもいいです。見つけたことや思い浮かんだことをメモしまくります。アイディアはなかなか向こうからやってきてくれません。好きになるように自分を仕向けましょう。違う言葉でいうと「好奇心」ですね。自分から捕まえにいく姿勢が重要です。

アイディアを文字にしてビジュアル化するだけでも、脳の思考能力は飛躍的に高まります。更に、作品のことを人に話すと、わかってもらおうという脳内スイッチが入るのでものすごく脳が働きだします。友達と物語のネタを話してるうちにストーリーが一本まるごと出来上がったっていうことはよくあることだと思います。ただ、興奮状態で考えたものは一晩寝かして見直す方がいいです。あと、散歩やサイクリングしたり、図書館や喫茶店などで考えたり、お風呂で考えたりするのも有効です。

本、雑誌、テレビ、ニュース、映画、歌詞、願望・忌避、友達の話、町でみかけた風景…なんでもいいですが、様々なものから情報収集しては、それをメモし、考える。そうしているうちに何か形が見えてくるはずです。

先週の話に出てきたと思いますが、作品とは何かの切り口です。一見面白くなさそうなネタでも切り方によっては、面白い断面が見えてきます。いろんな角度から眺めるようにしましょう。

 ネタを作る

いろいろ考えたり、探したりして出来てきた大量のネタを見直します。その中から光るネタを探し出しましょう。そのときに、他のアイディアとくっつけてみたり、入れ替えてみたり、逆転させてみたり、対の言葉やシチュエーションを考えてみたり、極端にしてみたり、視点を変えてみたり…と様々な可能性を探ってください。「おっ!?」と思うネタが出来上がったら、それはかなり面白くなる可能性があると思います。

ネタいじり用キーワード

  • 切り口
  • 共感
  • 意外性
  • 刺激
  • 社会性
  • 美しさ
  • オリジナリティ
  • 欠落と補完
  • タイミング・場所・目的
  • 需要と供給
  • ギブ&テイク
  • 比較
  • 異質なものをくっつける
  • エスカレートさせる(極端にする)
  • 裏切る
  • 勘違い
  • すり替える
  • 凝縮と解放
  • 対になるものを考える
  • 連続性
  • 統一感
  • リズム
  • バランス
  • 主観と客観
  • 視点を変えてみる
  • 擬人化
  • 第三者の存在
  • 表と裏
  • 密度

 物語化する

面白いネタができたら、物語化しましょう。というか、この時点ですでに物語ができてしまってる場合も多いんじゃないでしょうか。その場合もいろいろ検証するつもりで考え直す方がいいと思います。

どこで切り取るか

大前提として物語は、始まりがあって終わりがあります。ずっと連続して続いている時間のある一部分を切り取ったものが物語です。どこで切り取るのが一番いいか考えるのも重要です。いらない部分がないか、もっと必要な部分がないか考えましょう。

物語の恒常性

ものすごく単純に言うと物語は、誰かが何かを求めて行動したことを記したものです。

何かを求めるということは、何かが足りないということです。もしくは、バランスが崩れている状態を元に戻そうとすることです。その崩れたバランスを元に戻すために、主人公たちは思考し行動します。主人公が善人でも悪人でも個人でも組織でもその原理は変わりません。

この基本的な仕組みがないと、視聴者は見ていて不安になるんですね。この主人公はなぜ行動してるんだろう、それを手に入れたからどうだっていうの??と、何か落ち着かない感じになります。

  • うさぎ君は、台風でものすごい風と雨の中を、全身傷だらけになりながら八百屋に向かった。
  • うさぎ君は、倒れた妹うさぎに新鮮なニンジンジュースを飲ませてあげるために、台風でものすごい風と雨の中を、全身傷だらけになりながら八百屋に向かった。

このふたつを映像化してみたときのことを考えてみてください。ものすごい嵐の中を必死にピョンピョン跳ねるうさぎの姿がイメージできますが、あきらかに下の方が盛り上がりますよね。妹のくだりをはじめに出すか、後に出すかでも印象は変わります。

学生作品で面白くない作品はこの要素がないものが多いです。「だから何?」といいたくなってしまうのです。ただ車が走ってるだけ、ただ格闘してるだけ。「ただ○○してるだけ」の作品で面白くするのはなかなか難しいです。何かの操作説明とか、機能説明みたいなものや、自分の技術レベルを見せるためなどの映像としては、アリかもしれませんけど、大体のものは見ているうちに眠くなります。

ちなみに、映像作品がすべて明確な物語を持っていなければ面白くないかというと、そんなことは無いと思います。映像作品は時間性を持っているため広い意味では、すべて物語性があるともいえますが、一般的な意味での物語がある必要はないです。ネタが最高に面白ければ、物語らしい物語がある必要はないでしょう。記録性の問題もありますし、風景として意味がある映像やその映像から想像が豊かに膨らむ映像は無闇に物語性を入れない方が良い場合が多いでしょうね。

構成を考える

そして構成を考えましょう。よく言われるのが「起承転結」ですね。
起承転結の4部構成はものすごく有名で、もう誰でも知ってます。誰でも知ってるけど、実際作ると難しい。起承転結は順番をある程度いじることが可能です。ラストを最初に見せて、なぜそうなったのかを見せていく構成もよくあります。

映像作品としての物語

CGクラスで作るものは、ほとんどの人が映像作品ですので書いておきます。

映像作品のための物語だということをよく考えてください。おそらく皆さんが学内にいる間に作るものは短編作品です。アニメーション作品であればなおさらですが、あまり時間の長い作品は作れないでしょう。ですから、あまり複雑な話は向いていません。物語的にはシンプルな構成で考えて、絵の力と演出で見せていくのが無難です。書いている物語が長くなっていないか、考えてみてください。

ポートフォリオについて(その2)

ポートフォリオに使う画像や映像をそろそろ集めておいてください。素材がなければ、作品はできません。仮にでもいいので、とりあえず一度作ってみるのをオススメします。手を動かすことで、脳は働きだします。上でも書いたとおりです。ぼんやり考えてるときは、実は考えていないものなんです。実際に書いたり作ったりしてはじめて実感し思考できます。特にWEBサイトの場合は、とりあえず必要な画像データ、テキストデータを用意して基本構造を作っておき、スタイルシートでデザイン要素を作るようにしておけばいくらでもデザインし直せます。

はじめにポートフォリオの話をしましたが、もう一度確認しておきます。
最終的に提出してもらうものは、

  • ポートフォリオ(クリアーファイルや本にしたもの)
  • WEBサイト
  • 名刺

です。WEBサイトは動画やゲームなどが実際に見れたりプレイできるようになっている方がよいです。そして、3点はデザインラインが統一されている方がよいかもしれません。自分が人事担当者になったつもりで、それらを見るようにしてください。