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パソコン用映像とテレビ用映像の違い、変換の仕方(画面サイズ編)


 アスペクト比について

アスペクト比というのは、縦と横の比率のことです。
フレーム・アスペクトとは、画面の縦横比のことです。
ピクセル・アスペクトというのは、ピクセル(画素)の縦横比のことです。

映像制作をするときに、初心者を悩ませるのが画面のサイズの問題です。
パソコンで絵を作ってパソコンで再生するというシンプルな見せ方ならば、何も問題はないのですが、パソコンで絵を作ってテレビで再生するというときや、DVカメラで撮影してパソコンで編集する場合にややこしい問題が生じます。何が問題かというと、パソコンとテレビでは画面のサイズが違ってくる場合があるからです。

現在ではワイド画面のテレビやハイビジョンテレビが増えてきて、画面の横と縦の比率が16:9になっていることが多いですが、DVD-Videoや地上波放送は横縦の比率が4:3の画面です。ややこしい問題が起こるのはこの4:3の比率の画面の場合です。もう少し正確にいえば、従来の地上波放送で用いられてきたSDTV規格の場合です。ハイビジョン(HDTV)は正方形ピクセルなので問題ないのです。

まず、4:3の比率で正方形のタイルを並べると何枚になるでしょうか。
縦を480とすると、横は640枚のタイルが並ぶことになります。PCでは、正方形ピクセルとして画面を表示しているので、PC上で再生することを想定している場合は640x480のサイズに画面サイズを変更する必要があります。

  • PC再生用映像でよく用いられる4:3の画面サイズ(正方形ピクセル)
    • 横800x縦600
    • 横640x縦480
    • 横320x縦240
    • 横512x縦384 …ニコニコ動画など

ここまでは、何も難しいことはありません。自分が描いた形がそのまま再生されます。パソコンで絵を作って、パソコンで編集して、パソコンで映像にして、パソコンで再生するという、全てパソコンで完結しているからシンプルです。
問題になるのは、テレビやDVDの規格を想定した場合です。
日本で使われているテレビ用の映像規格はNTSCというものです。(海外ではPALを使っている国もある)これを理解するためには、まずテレビがどのようにして映像を表示しているのかを知らないといけません。

表示する機械によって、映像規格は違う

まず、頭に叩き込んでほしいのは、「テレビと映画とパソコンは表示するシステムが違う」ということです。もう少し突っ込んで言うと、テレビと映画とパソコンは「表示する機械」が違うので「表示する仕組み」も違うのです。NTSCというのはテレビ用の仕組みなので、テレビという機械(ブラウン管テレビ)に対応して作られています。パソコンで見ることを想定していないのです。そこのところを忘れていると混乱します。テレビ用のデータは、テレビ(ブラウン管)で見て初めて本来の映像を楽しむことができるのです。パソコンでも見ることができますが、それは再生用のソフトウェアで擬似的にテレビの機能を再現しているからです。しかし、完全に再現することは難しいため、テレビ用の映像はテレビで見た方が綺麗な映像を楽しむことができるでしょう。

 NTSCの画面サイズについて。

テレビで使われている映像規格のNTSC(D1)では、720x486というサイズが用いられています。これは、486本の帯が縦に並んでいるとイメージしてください。テレビ映像では、この帯を順番にテレビ画面に送り込むことで画面に色を表示しています。で横方向の数字「720」についてですが、これは縦の486ほど重要な数字ではなく、一つの帯にどのくらい情報を詰め込むのが適当かということを考えたときに出てきた数字です。数字が大きければそれだけ高解像度な映像になるのですが、縦方向は増やせません。縦方向の数字は走査線と呼ばれているもので、ブラウン管テレビの仕組みを知るとわかってくると思います。

走査線とは

ブラウン管テレビは電子銃というもので画面の奥から電子ビームを撃っています。電子ビームの強さを強弱させると画面の蛍光面の光の強さが変わります。横方向に移動しながら電子ビームを強くしたり弱くしたりすることで、白〜黒の色の帯が表示されます。そして画面の端までくると、電子ビームをOFFにした状態で反対側まで戻り、一段下の走査線をまた移動していきます。486本の白黒の帯が集まると、1フレームの絵になって見えるというわけです。これは、白黒テレビの例で、電子銃を3つ使って、それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)を強弱させて表示させるとカラーテレビになるわけです。

電子ビームが強いか弱いかで様々な色を表現しているのですが、その強弱はON/OFFスイッチではなく、強弱の波で表現されます。ON/OFFだとしたら、白か黒かしか表現できないですよね。電子ビームの強弱の操作はスイッチをポチポチ押してる感じではなく、ダイヤルのようなものを高速で回してるような感じが近いです。つまり、タイルのようなものが並んでいるのではなくて、細かいグラデーションの帯のイメージです。NTSCでは720ピクセルということになっていますが、大まかに言えば、そのグラデーションの帯を720分割して、一番近い色で置き換えている(デジタル化)ということです。パソコンで横に720個のドットが並んだ画像を作って、それをテレビ用の映像信号に変換すると、720個のドットから、それに近似する波形データに変わっていることになります。

テレビとパソコンの違い

ここまで読んでもらえば理解できると思いますが、テレビ画面を表示する仕組みは、ドットを一つ一つ並べていくような仕組みではなくて、1フレームの画面を表示させるのに、電子ビームが左から右へ流れるように光の強さを強弱させながら進んでいく作業を486回繰り返していく(正確には525回)わけなので、信号的には720という数字にそれほど意味はないんです。ですが、ブラウン管表面には等間隔にRGBの蛍光体が並んでいるので、縦486と同じ解像感があるようにしないと違和感のある絵になります(というか、無駄に周波数の高い映像信号にしても蛍光体以上の解像度を表現できない)。486本の走査線とバランスのいい数字が720くらいだということです。テレビの映像信号は、もともとドットを意識しているわけではないので、パソコンという機械を使って映像を操作しない限り、アスペクト比をことさら意識することはありません。アスペクト比が問題になるのは、パソコンでテレビ映像を作ったり、テレビ映像をパソコンにキャプチャするから起こる問題です。テレビの映像信号は波形信号で、パソコンの映像データはピクセルで管理しているという仕組みの違いから起こる問題です。

ただ、現在では液晶テレビが主流になりつつあります。液晶テレビはブラウン管テレビと映像を表示する仕組みが違います。そこで、従来のテレビ(ブラウン管テレビ)で用いられてきた映像信号を綺麗に違和感なく表示させるための仕組み作りが肝になってきます。実際、DVD-Videoなどを液晶ハイビジョンテレビで見ると、ブラウン管で見るより汚く感じたりしますが、もともとDVD-Videoは、液晶ハイビジョンテレビで見ることを想定していないからなのです。そういう問題があるので、各メーカーではその辺の技術開発が重要な問題になってくるわけです。

 テレビ映像をパソコン用映像へ変換する

NTSC-D1とNTSC-DVについて

前置きが長くなりましたが、本題のテレビ〜パソコン間の映像データの変換についてです。
テレビ映像規格であるNTSC(D1)は、720x486というサイズです。テレビは4:3の画面なのですが、720x486の画面をパソコンでダイレクトに表示すると4:3にならず、少し横方向に間延びした絵になります。パソコンは正方形のピクセルが並んでいるわけですが、NTSC(D1)は正方形ピクセルに合わせて作られた規格ではなく、それよりも密度の高い情報を入れようとして各走査線に余分にデータを凝縮しているわけです。でも、そのままではパソコン専用の映像データとすると支障があるので、画面のサイズを変えてやる必要があります。

まず、皆さんがよく使うと思われるのはDVテープだったり、DVDだと思います。ですので、そのことについて説明します。
NTSC(D1)という規格はテレビ放送で使われているものですが、DVカメラで撮影されるものは、NTSC(DV)というもので、D1規格と少し違います。D1の方が上位規格です。DVは一般の人が扱うことを想定して、安い機材で扱えるようにしてあるものです。D1は未圧縮データ、DVは圧縮データです。データ圧縮するために、D1と少し違うのです。データ圧縮されているためデータ容量が少なくなり、家庭にあるパソコンでも容易に映像編集が楽しめるようになったのです。その代わり、画質はD1よりも少し悪くなります。

  • NTSC D1
    • 720x486
  • NTSC DV
    • 720x480

DVは縦に6ピクセル少ないです。データ圧縮するときに16の倍数であると都合がいいのですが、486は16で割り切れません。そこで、486の近似値で16の倍数である480が採用されました。差分の縦6本分は削除されているのです。横方向の720はもともと16の倍数なのでそのままです。D1とDVは、縦の数字が6違いますが、DVの方が走査線6本分を端折っているってわけで、機械であるテレビの走査線数が変わるわけではありません。テレビの方で6本分の走査線が使われていないだけです。だから、D1とDVに変換するときに、画面サイズを引き伸ばしたり縮小するのではなくて、DVからD1に変換するときは、上下に6本足してやることになります(上2本、下4本)

変換手順をまとめます。

  • 【D1からDVに変換する場合】
    • 縦方向で上2ピクセル、下4ピクセル削除
  • 【DVからD1に変換する場合】
    • 縦方向で上2ピクセル、下4ピクセル追加(黒など)

DV映像をPC用に画面サイズを変更する

次にパソコン用映像への変換についてです。
DVからパソコン用の画像や映像に変換する場合、縦横比を変えなければなりません。パソコン画面は正方形ピクセルが並んでいるので、それに合わせて縦横比を変えてやる必要があるのです。また印刷用の静止画として画面を使うときも、正方形ピクセルでなければならないため同じ操作が必要になります。

正方形ピクセルで4:3の画面にするとき考えられるのは

  • 被写体の歪みができるだけ無いように変更する
  • 横幅720を固定して縦幅を変更する
  • 縦幅480を固定して横幅を変更する

の3通りでしょう。ですが、DVの画面をダイレクトに640x480へ縮小したり拡大すると正確にはアスペクト比が狂います。なぜならば、

  • テレビの映像データは左右に余分な領域が確保されている

からです。左右の余分な領域について下で検証します。

NTSCの画素はピクセルに換算すると、正方形ではなく縦長になります。

  • NTSCのピクセル縦横比
    • 縦:横=11:10

NTSCを想定した縦長のタイル(横10cm、縦11cm)を横720x縦480枚並べると、7200cmx5280cmの画面になります。
PCモニターを想定した正方形のタイル(横11cm、縦11cm←上と同じ高さのタイル)を横640x縦480枚並べるとどうなるでしょうか。7040cmx5280cmになります。
ピクセル縦横比を計算にいれて並べてるはずなのに画面の横の長さが違いますよね。NTSCでは7200cmで正方形ピクセルでは7040cmです。NTSCは4:3の画面よりも少し横長ということになります。160cm分余分なのです。つまりタイル16枚分です。ですから、720x480のDVの映像データをパソコン視聴用の640x480のサイズに変換するときは、左右の16ピクセル分を間引いて704ピクセルにしてから、640へ縮小しなければなりません。

DVの映像をパソコン用や印刷用に変換するとき、いくつかの方法があります。
足りない部分を足したり、余分な部分を削ったりという作業が発生します。少々ややこしいので、以下の手順通りに操作してください。

手順をまとめます。

  • 【DV→PC】縦幅480を固定して、横幅720を640に変更する1
    1. 画面サイズ「720x480」から左右8ピクセルずつ(計16ピクセル)削って、「704x480」にする。
    2. 画面サイズ「704x480」を縮小して「640x480」に変更(完成)
      • 一番スタンダードな変換方法です。モチーフの縦横比が正しく補正されます。走査線(インターレース)をキープしたまま縮小するので乱れが少ないです。難点は左右16ピクセルを削ってしまうので、そこに重要なモチーフが映ってるときは厳しいことになります。(本当は画面端に大事なものを入れるべきではないですが)

  • 【DV→PC】縦幅480を固定して、横幅720を640に変更する2
    1. 画面サイズを「720x480」から「654x480」に横方向に縮小
    2. 左右7ピクセルずつ(合計14ピクセル)を削除して、「640x480」に変更(完成)
      • 画面比率を4:3にこだわらなければ、「654x480」でもよい。映像でも静止画でも使えます。縦のサイズをいじってないので走査線が崩れないのも利点です。

  • 【DV→PC】横幅720を固定して縦幅480を変更する
    1. 画面サイズを「720x480」から「720x528」に縦方向に拡大
    2. 上下に黒色などを12ピクセル足して「720x540」にする(完成)
      • 画面サイズ4:3にこだわらなければ、「720x528」のままでも構いません。走査線数が変わってしまうので、インターレース解除してからでないと汚くなります。主に静止画用。

PC用の画像や映像をDV用に画面サイズを変更する

上の逆の操作を行えばOKです。具体的には以下のようになります。

  • 【PC→DV】縦幅480を固定して、横幅640を720に変更する
    1. 画面サイズ「640x480」を横方向に拡大して「704x480」に変更
    2. 画面サイズ「704x480」の左右に8ピクセルずつ(計16ピクセル)黒色などを足して、「720x480」にする(完成)
      • 失う情報がなく、操作線もキープされるので一番理想的な変換だと思います。ただ、左右に黒色などを足すのでそれをしたくない場合は使いにくいかもしれません。

  • 【PC→DV】大きな画像からDVサイズに縮小する
    1. より大きいサイズから縮小やトリミングなどして画面サイズ「736x540」にする。
    2. 画面サイズ「736x540」から「720x480」に縦方向に縮小。(完成)
      • 画面サイズを縦方向にいじっているため、静止画を使うときや、インターレースを用いていない場合に有効です。拡大してないので、画像がぼやけない。
      • 【注意点】最初の「736x540」のサイズに合わせるところで左右に8ピクセルずつ、余分領域を設けてます。そこは見切れる部分なので文字とか重要な絵を入れないようにしてください。

もちろん「そんなこまけぇことはいいんだよ!」っていう人もいると思います。そういう人は720x480から640x480などのサイズにダイレクトに縮小すればいいと思います。映ってる人物が少しスマートになりますが。この場合、横方向に約14ピクセル分余分に細くなってしまいます。これは感覚的にわかるレベルの量だとは思います。

テレビ画面に正確な形を表示しなければならない作品を作る場合、例えば、正確に正方形を表示させたいときは、上で書いたようなことが重要になります。しかし、もっと簡単で直感的な方法があります。それは、実物をビデオカメラで真正面から撮影することです。レンズで多少歪むので気をつけないといけませんが、一番単純な方法でしょう。

ここまで見てもらうとお分かりのようにNTSCの映像規格ではテレビ画面には入りきらない余分な部分が存在しています。ですから、映像編集の段階で画面の端の方に重要なモチーフや文字を入れてレイアウトしてはいけないのです。気をつけてください。

さらに、パソコン用に最適化する場合は、「インターレース解除」と「YC伸張」について考えることが必要です。これについては、また説明しますが、Google等で検索すればたくさん情報が見つかると思います。

 画面サイズ表

PC用の動画ファイルのサイズにオススメな16の倍数の表です。この数字に合わせて画面サイズを映像画面のサイズを決めるとデータ圧縮的には効率がいいです。
【活用事例】上下黒ベタが60ピクセルずつある640x480の画面だと、上下合わせて120ピクセル引かれるので、黒帯をクロップ(削る)と640x360になります。ですが、360は16の倍数ではないので、そのことを考慮すると640x368にして上下4ピクセルずつ黒帯を入れるのが最も小さいサイズになります。

4:3
768 704 640 576 512 448 384 320 256
576 528 480 432 384 336 288 240 192

16:9
2304 2048 1792 1536 1280 1024 768 512 256
1296 1152 1008 864 720 576 432 288 144

イレギュラーなサイズのための16の倍数表
x16
2144 2128 2112 2096 2080 2064 2048 2032 2016 2000 1984 1968 1952 1936 1920 1904 1888 1872 1856 1840
1824 1808 1792 1776 1760 1744 1728 1712 1696 1680 1664 1648 1632 1616 1600 1584 1568 1552 1536 1520
1504 1488 1472 1456 1440 1424 1408 1392 1376 1360 1344 1328 1312 1296 1280 1264 1248 1232 1216 1200
1184 1168 1152 1136 1120 1104 1088 1072 1056 1040 1024 1008 992 976 960 944 928 912 896 880
864 848 832 816 800 784 768 752 736 720 704 688 672 656 640 624 608 592 576 560
544 528 512 496 480 464 448 432 416 400 384 368 352 336 320 304 288 272 256 240