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アニメ・ゲーム研究-2010-03

【第3回】日本アニメ史

かなり大雑把な年表となっています。個人的に重要かなという辺りをかいつまんで記述してあります。また、映像技術は海外からの輸入です。理解する上で重要な海外作品もラインナップしています。

 日本アニメの発生から現在まで

■『哀れなピエロ』(1892年 、en:Pauvre Pierrot、フランス)
シャルル・エミール・レイノーによりテアトル・オプティークを用いて上映された、アニメーション映画の先駆的作品。
※テアトル・オプティークとは、動画をスクリーン上に投影する装置。
【開発の変遷】

  • 1834 ゾートロープ(ウィリアム・ホーナーが発明。個人視聴)
  • 1876 プラキシノスコープ(鏡を使用。12コマ)
  • 1878 プラキシノスコープ・テアトル(動画と背景を別に重ねることができる。12コマ)
  • 1880 上映式プラシキノスコープ(小型スクリーンに投影できる。12コマ)
  • 1888 大型の上映装置(パーフォレーションに似たシステム。ゼラチンフィルム使用、コマ数制限なし)
  • 1892 テアトル・オプティーク 『哀れなピエロ』上映。500枚〜600枚の動画。15分。

■『愉快な百面相』(1906年、原題:Humorous Phases of Funny Faces、アメリカ)
ジェームズ・スチュアート・ブラックトン監督。黒板アニメ。一部、実写と切り紙アニメ。


■『ファンタスマゴリー』(1908年、原題:Fantasmagorie、フランス)
エミール・コール(風刺画家)制作。世界初の実写を含まない純粋なアニメーション映画。


■1914年 セル画によるアニメーション技術の特許申請

■1917年 下川凹天、幸内純一、北山清太郎らがアニメーション映画を制作。
現存する日本最古のアニメーションフィルム『塙凹内名刀之巻(初公開時はなまくら刀)』(幸内純一)
2007年7月に大阪市内の骨董市で松本夏樹氏が発見。


■『蒸気船ウィリー』(1928年、アメリカ)
ディズニーを代表するキャラクター、ミッキーマウスの登場。世界最初のトーキーアニメ映画


■『白雪姫』(1937年、アメリカ)
現存する世界初のカラーによる長編アニメ映画。日本はもちろんのこと、世界中のアニメ作家に強い影響を与えた作品。


■『桃太郎の海鷲』(1942年、日本)
戦意高揚のために作られた国策アニメ。

■『くもとちゅうりっぷ』 (1943年、日本)
政岡憲三監督作品。戦時下で作成された、極めて芸術性の高い小品。


■『桃太郎 海の神兵』(1945年、日本)
戦意高揚のために作られた国策アニメ。


■『すて猫トラちゃん』(1947年、日本)
政岡憲三監督作品。当時の優れた作画能力がわかる。


■『進め!ラビット』(en:Crusader Rabbit)(1949年、アメリカ)
世界初の短編テレビアニメ。1話5分。短編ではあるが、鉄腕アトム以前にテレビアニメは製作されている。


■『やぶにらみの暴君』(1952年、後、『王と鳥』に改題。フランス)
原作アンデルセン、監督ポール・グリモー。東映動画のスタッフにも強い影響を与えている。


■1956年、東映動画設立

■『白蛇伝』 (1958年、日本)
日本最初の劇場用長編カラーアニメ映画。東映動画制作。日本アニメにとって重要な出発点。

上記動画は、予告編。当時の東映動画社内の様子が映されている。

■1961年 手塚治虫が、練馬区富士見台に手塚治虫プロダクション動画部設立。1年後、手塚治虫プロダクション動画部が、虫プロダクションとして正式に設立、同年、タツノコプロダクション設立。

■『鉄腕アトム』(1963年、日本)
世界初の毎週放送の本格的テレビアニメ。テレビアニメの基本形態を作った。1966年末まで放送。全193話。モノクロ放送。


■『鉄人28号』(1963年、日本)
世界初の巨大ロボットアニメ。


■『狼少年ケン』(1963年、日本)
日本初のアニメオリジナルストーリーの作品。東映動画初のテレビアニメーション。


■『ドルフィン王子』(4月から全3話)、『ジャングル大帝』(10月から全53話)
日本初のカラーテレビアニメシリーズ。ジャングル大帝は毎週放送の本格的フルカラーテレビアニメシリーズとしては世界初。


■『サザエさん』(1969年)
国民的お茶の間アニメの決定版。


■『ルパン三世』(1971年)
大人向けアニメという新たなスタイルを作り出した。人気作品。


■『ドラえもん』(1973年)
現在も製作され続けている怪作。世界中の人気アニメ。


■『宇宙戦艦ヤマト』(1974年)
SFアニメを決定づけた作品。また、熱烈なアニメファンも生み出した。


■『機動戦士ガンダム』(1979年)
現在もシリーズ作品として作り続けられている人気作。アニメは勧善懲悪ものというセオリーを打破。


■『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年) 宮崎駿のアニメ映画監督としての第一作。


■『風の谷のナウシカ』(1984年)宮崎駿監督作品。

■1985年、スタジオジブリ設立。ジブリ1作目『天空の城ラピュタ』(1986年)

■『ドラゴンボール』放送開始(1986年)
世界中でファンを獲得した人気アニメ。


■『機動警察パトレイバー』OVAシリーズ(1988年)
ビデオのみで展開するOVAの手法が確立され始める。


■『AKIRA』(1988年)
圧倒的な作画クオリティ。アニメ表現の到達点のひとつであろう。


■『美少女戦士セーラームーン』(1992年)
戦う女の子グループという形式を決定づけた作品。国内外で大ヒット。


■『新世紀エヴァンゲリオン』(1995年)
哲学・学術用語の飛び交う難解なストーリーに、多くの若者が熱中し社会現象となる。


■『トイ・ストーリー』(1995年、アメリカ)
劇場公開作品としての世界初のフルCG作品


■『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995年)海外で高い評価。


■『名探偵コナン』(1996年)現在も放送中の長寿人気番組。


■『ポケットモンスター』(1997年)世界的人気を獲得する。1997年ポケモンショック事件。

■1997年、ゲゲゲの鬼太郎制作から東映アニメーションにおいて、デジタルアニメに移行開始。

■『もののけ姫』(1997年)、『千と千尋の神隠し』(2001年)
宮崎駿監督作品が歴代邦画収入記録を二作続けて更新。『千と千尋の神隠し』は、2003年、アカデミー賞・長編アニメーション部門賞を受賞。

■『時をかける少女』(2006年)、『涼宮ハルヒの憂鬱』(2006年)
口コミ、インターネットによる伝搬によってヒットするという現象が顕著になりはじめる。


■『つみきのいえ』(2008年)加藤久仁生監督作品。
アヌシー国際アニメ映画祭で、クリスタル賞(グランプリ)、短編部門若手審査員賞を併せて受賞。2009年にはアカデミー短編アニメ賞受賞。他多数の受賞。


 まとめ

大雑把にいえば、現在の日本製アニメ作品の源泉はディズニーの「白雪姫」といっていいのではないだろうか。白雪姫を目指して、東映はアニメ映画会社を作った。それは、手塚治虫も同様であろう。

日本のアニメ会社のルーツはほぼ東映動画に求められる。日本初のアニメ会社であり、そこで育った人材が新たな会社を作り、東映のノウハウを改変しながら、進化していった。手塚治虫が作った虫プロダクションはそのような会社の一つである。「鉄腕アトム」から始まったテレビアニメーションは、それまでのアニメのフィールドであった劇場からテレビへと発表の場を移した。虫プロは毎週放送という過酷な条件を満たすため、初期の頃からいかに作画量を省力化するかに注力していった。鉄腕アトムのヒットを受け、アニメはテレビで発表されるようになっていく。様々な作品が作られたが、日本ではマンガが読み物として、広く浸透し発展していたため、人気マンガを原作に製作するのが一般的な手法になった。作画枚数の省力化とマンガの組み合わせは相性がよく、それが今のアニメの形を決定づけていったと思われる。

「映画」から茶の間の娯楽へと変化していったアニメは、その視聴対象を拡張していった。本来、アニメは子供がメインの視聴者だったが、現在では子供から大人まで様々な年齢層をターゲットに制作されている。しかし、それ故に様々な問題も噴出してきており、性的な表現や暴力表現について規制すべきかなど、それらはよく話しあわれていかなければならないだろう。

年齢層の広がりとは、また別のベクトルとして、海外へ広がりということも取り上げておかねばならない。ディズニーを目指して始まった日本のアニメは独特の進化を遂げ、表現として明確な地位を築き上げた。日本のアニメは、国内の人たちと同じように国外の人たちも見て育ってきており、子供の頃に見たアニメについて思い出話に花を咲かせることもできたりするほどだ。

日本アニメの面白さは、国内外の多くの人が十分理解している。しかし、表現活動に対して敬意の払われにくい体質を持つ日本では、制作していくのが困難な部分も大きい。様々な部分で改善されるのが望ましいだろう。

 参考