映像基礎演習-第1回-2009

映像基礎演習　第１回　オリエンテーション　[2009年度]

講義メモ： http://watersky.jp/memo/wiki.cgi

「映像」とはなんぞや？

goo辞書で検索（大辞林）

えいぞう　―ざう 0 【映像】: (1)映画・テレビ・写真などの画像のように、レンズを通して映し出された像。「鮮明な―」「―文化」 (2)頭の中に思い浮かんだ、ものの形やありさま。イメージ。

Yahoo辞書で検索（大辞泉）

えい‐ぞう【映像】: １光線の屈折または反射によって作られた像。２映画やテレビの画面に映し出された画像。３心の中に一つのまとまった姿として描き出された像。心象。イメージ。

Yahoo辞書で検索（プログレッシブ和英中辞典）

えいぞう【映像】: 1〔レンズなどによる〕an image; 〔鏡・水面に映った〕a reflection; 〔テレビの〕a picture, an image; 〔レーダーの〕a blip 鏡に映る映像 a reflection in a mirror テレビの映像がぼやけている The picture on the TV screen is blurred [out of focus]. 2〔心に残る姿など〕an image

これらの辞書からも推測されるように「映像＝動画」ではない。映像とは「写されるもの」もしくは「映されるもの」全般を指すかなり広義の言葉である。主に視覚によって捉えられる像を指す場合が多いが、心の中に現れるものも対象とする。

錯視、幻影、知覚、動き、記録

動画が動いて見えるしくみ

「ものを見る」という行為はカメラが写真を撮ることとは似て非なるものである。

カメラ…光→レンズ→シャッター→フィルム（CCD)→写真（画像データ）
視覚…光→角膜→虹彩→網膜→脳（知覚）→映像

仮現運動

人間の目には無意識に欠けているものや隠れているものを補完、完結した形で認識する機能が備わっている。さらにある程度の速度の動きを残像として目に焼き付ける。この２つを応用したものが動画の原理である仮現運動だ。

視神経の補完機能: 左の絵だけを見せられたとき、人間の目は単純に「羽が欠けている」と捉えるのではなく、鳥の羽が「本来はつながっていて、それが隠されている」と認識する。無意識下で右のように完結した絵を想像しているのである。

視神経の補完機能

残像現象: ゾーマトロープと呼ばれる残像効果を利用したおもちゃはアニメーションの原点といえるだろう。片面に鳥、その反対に鳥かごが描かれたパネルを高速で回転させるとかごの中に鳥が入っているように見える。

残像現象ゾーマトロープ

上の２つを応用したものがアニメーション（動画）である。左のイラストと右のイラストを高速で動かすと残像現象と左右の間にあるものを補完しようとする視神経の働きで、中央には羽ばたいている途中の鳥がみえる。

アニメーションの原理

絵が動いて見えるためには切り替えの速度と絵の連続性が求められる。絵の切り替え速度は最低でも0.1秒以下でなくてはならず、それより遅いと動きではなく点滅として認知される。また、0.02秒より早い速度で切り替わると人間の目では知覚できなくなる。さらに複数の静止画が動画として認識されるには、それらが一連の動きを細かく切り取ったものでなくてはならない。当然のことだが、バラバラの絵が高速で切り替わっても動きとして認知することはないのである。