トップ 差分 一覧 Farm ソース 検索 ヘルプ RSS ログイン

映像基礎演習-第6回-2007

映像基礎演習 第6回 映像作品の形式分析2 [2007年度前期]


 実験アニメーション

ノーマン・マクラレン Norman McLaren

1914年4月11日 - 1987年1月27日 カナダの実験映像、アニメーション作家。

スコットランド、スターリング生まれ。画家を志してグラスゴーの美術学校に入学、セルゲイ・エイゼンシュテインを始め、多くの優れた映画に出会う。とりわけ、実験的映像に興味を持ち、在学中にフィルムクラブを作り同時代の巨匠たちのフィルムを見続けたほか、フィルムにダイレクトペイントした作品を自主制作した。そのときの作品がドキュメンタリー映画監督のジョン・グリアスンの目にとまり、イギリス郵便局の映画部に招かれる。その後、ロンドン、アメリカと拠点地を移動。グリアスンがカナダの国立映画制作庁(NFB)の局長に就任すると、彼の推薦によりアニメーション部門の責任者となる。

1930年代から80年代までの50年間に、約70作品を制作。200あまりの国際賞を獲得している。ダイレクトペイント、ピクシレーション、カリグラフィ、立体アニメーション、多重露光映画など、数々の実験映画を手がけた。NFBの後進の指導にも尽力し、NFBの作家主義、個人制作スタイルを牽引した。

代表作

  • 星とストライプ 1983/2分
  • ループ Loops 1940/3分
  • 色彩幻想−過去のつまらぬ気がかり 1949年/8分
  • ペイント・パーカッション−ペン先の音楽 Pen Point percussion 1951/6分
  • 隣人 1952年/8分
  • 緑と色の即興詩 1955年/5分
  • 算数あそび Rythmetic 1956年/9分
  • マクラレンの開会の辞 1960年/7分
  • ニューヨーク・ライトボードの記憶 1961年/8分
  • カノン 1964年/9分
  • パ・ドゥ・ドゥ 1968年/13分
  • シンクロミー 1971年/7分

手塚治虫


漫画の始祖として名高い手塚治虫は日本における商業アニメーションの土台を築いた人間の一人である。もともとディズニーのアニメーション映画に心酔していた手塚治虫は「鉄腕アトム」の日本初のテレビ連続放送により、大人気を博す。短期間にアニメーション作品を完成させる必要から「バンクシステム」や静止画の多用、撮影フィルムの使いまわしなどを駆使して制作するスタイルを考案する。無謀ともいえる省力化により映像は大変荒いものになってしまうが、不可能とも思えた毎週新作を放送するという快挙を成し遂げる。現在の日本製アニメーションの土台になっているセル画によるリミテッドアニメーションのしくみはこの時に始まったといえる。今、日本において大量のアニメーション作品が制作できているのは、省力化を極めた方法論の成果なのだ。

手塚治虫のアニメーション作品

  • 監督
    • 『ある街角の物語』
    • 『展覧会の絵』
    • 『火の鳥2772 愛のコスモゾーン』
    • 『ジャンピング』
    • 『おんぼろフィルム』
  • 製作総指揮
    • 『千夜一夜物語』
  • 原案
    • 『わんわん忠臣蔵』
    • 『ジェッターマルス』
    • 『ラブ・ポジション〜ハレー伝説〜』(OVA)
    • 『青いブリンク』 - 原案「せむしの仔馬」 *手塚治虫の遺作の一つ
  • 以下、NTV系『24時間テレビ アニメスペシャル』より
    • 『100万年地球の旅 バンダーブック』
    • 『海底超特急マリン・エクスプレス』
    • 『フウムーン』
    • 『ブレーメン4 地獄の中の天使たち』
    • 『タイムスリップ10000年プライム・ローズ』
    • 『大自然の魔獣バギ』
    • 『悪魔島のプリンス三つ目がとおる』(注:テレビ東京で放映された作品とは無関係)
    • 『銀河探査2100年ボーダープラネット』
    • 『手塚治虫物語 ぼくは孫悟空』 *手塚治虫の遺作の一つ

『鉄腕アトム』オープニング

リミテッド・アニメーション

リミテッド・アニメーション(Limited animation)とは、動きを簡略化しセル画の枚数を減らすアニメーションの表現手法である。旧来のリアルな動作を追求したアニメーションに対し、簡略化された抽象的な動作を表現するために、アメリカのアニメーション制作会社UPAにより導入された。

本来は表現手法として考え出されたリミテッド・アニメーションであったが、後のハンナ・バーベラなどにより、専ら省力化のために使われるようになった。日本の手塚治虫もまた鉄腕アトムのテレビアニメを作る際に、この手法を制作費や製作時間を削減するために取り入れた。それが手法として洗練され、現在の日本のアニメーションとして発展した。

画面の一部だけを動かす場合、特にキャラクターの体はそのままで口だけが動いたり、画面内の多くのキャラクターのうち、1,2名のみが動いたりするのが特徴である。海外のリミテッドアニメは、動画枚数が1秒あたり12枚のことが多いが、日本のリミテッドアニメは1秒あたり8枚のことが多い。

バンクシステム

バンクシステムとは、日本のアニメや特撮、映画などの作品において、特撮シーン、特定のシーンの動画、あるいは背景を保存し、別の部分で流用するシステムの事である。違う作品にも使われる事が有る。一部の漫画家もこのシステムを活用している。テレビアニメの場合、人物、背景、物体が全く同じ反応や動きをする場合、新規に作画し直す事は手間、時間、コストがかかる。よって、一度作画した動画の中でよく使われる物はバンクフィルム(もしくは単にバンク(貯蔵))として保存されて再活用される。その一方で、変身シーンやロボットの合体シーンなど毎回使われるシーンは、制作コスト削減のため、最初から流用を前提に作成されることが多い。映画や特撮では、ライブフィルムと言う。ライブはライブラリーから来ている。

バンク例 『ウルトラセブン』より

バンク例 『Yes!プリキュア5』より

 参考文献


【DVD】ノーマン・マクラレン作品コレクション

【DVD】手塚治虫 実験アニメーション作品集