!!!メイン・プロットとサブ・プロット プロット(構成)で書いた三幕構成などのプロットは、シンプルにひとつのストーリーを表している。これに、1つか2つのサブ・プロットを混ぜていくことでストーリーや主人公に奥行を与えることができます。 例を書くと、冒険映画のメインのお話は様々なアクションや謎解きで構成されていて、そこに恋愛ドラマを絡ませていくというのは典型例として考えられます。ここでは、メイン・プロットが冒険ドラマで、サブ・プロットが恋愛ドラマだと考えられます。サブ・プロットというとオマケのような印象があるかもしれませんが、メイン・プロットとサブ・プロットが連携してストーリーを構成し、主人公の動機を強く支え、心情を明確に伝えるのはサブ・プロットの部分だったりするのです。 また、メイン・プロットでは強く勇ましい主人公でも、サブ・プロットでは繊細で心の弱い面を見せたりすることで、主人公を多面的に描き、深みを与えることができます。サブ・プロットは、メイン・プロットで忙しく活躍する主人公の特別な一面を見せたり、夢や願望を考えたり、リラックスさせたりする場として機能するのです。 メイン・プロットとサブ・プロットは同時に進行します。よくできたサブ・プロットは、サブ・プロットにも、メイン・プロットのような構成が成立していて、それぞれが絡み合い、補完しあってストーリーを強化します。それぞれの状況設定があり、展開があって、クライマックス、結末へと進行し、メインの解決とサブの解決が同期しているのです。先ほどの冒険映画でいうと、冒険の目的を達するのと、恋愛ドラマの結末は同時にやってくるというわけです。 逆にいうと、メインとサブのプロットがそれぞれ交差せず、どちらかが欠けても成立するならば、そのサブ・プロットは必要ありません。 !!サブ・プロットの問題 サブ・プロットがうまく機能しないために失敗してしまうシナリオは多いのです。これら、サブ・プロットに発生する問題点をいくつか例示します。 +サブ・プロットが構成を欠いている **構成を欠いたプロットになっていると、まとまりがなく、何について語っているのかわからなくなってしまいます。 +サブ・プロットがメイン・プロットと交差しない **サブ・プロットとメイン・プロットが交差するポイントがないと、本筋と全く関係のないもののように見えてしまいます。いくら魅力的な話を展開したとしても、本筋と関わりを持たないサブ・プロットは必要ありません。 +サブ・プロットが正しい場所に配置されていない **サブ・プロットもメイン・プロットと同様ストーリーを通して展開し、メイン・プロットと交差するように作られていなければなりません。サブ・プロットを冒頭に配置し、メイン・プロットが始まる前に終わってしまったりすると、2度ストーリーを語っているような状態になってしまい、何の話をしているのかわからなくなってしまいます。 !!ゲームの場合 ちょっと、特殊な例でいうとドラクエやFFのような長編RPGは、無くても本筋にはまったく影響しないサブ・プロットが大量に加えてあったりします。本筋と密接に影響しているサブ・プロット、脇役キャラのストーリーを充実させるサブ・プロット、レア・アイテムが手に入るサブ・プロット、世界観を補強するサブ・プロットなどが考えられます。 FF10を例にして考えると、メイン・プロットはシン(大ボス)を倒すため召喚獣を集める旅のストーリーです。そこにサブ・プロットとして、ユウナ(ヒロイン)との恋愛劇などが加わり、お話を豊かにしているのです。主人公のティーダの目標はいくつかあります。シンを倒すこと、元の世界へ戻ること、父へのわだかまりを払拭すること、ユウナと結ばれること、強くなることなどがあります。ですが、他にもゲーム世界や登場人物の詳細な設定を知ることができるサブ・プロットが大量にあり、それらは見なくても何の問題もなくプレイすることができ、ゲーム内から削除してしまってもストーリー進行上での問題はないのですが、やり込みプレイ派へのファンサービスとして加えてあるのです。RPGは、プレイ時間に制限がないため、このような余分なサブ・プロットも加えることができますが、寄り道が多くなりすぎると本筋のストーリーがぼやけてしまいゲームバランスが崩れる危険性があります。 !!サブ・プロット チェックリスト *このサブ・プロットは必要だろうか *ストーリーに何かを加えているだろうか *ストーリーと交差するだろうか *ストーリーに深みをもたらしているだろうか *サブ・プロットはいくつあるだろうか *もし、3〜4つ以上のサブ・プロットがあるのなら、メイン・プロットとストーリーB、ストーリーCに集中させるため、捨て去ることができるサブ・プロットはないだろうか *それぞれのサブ・プロット、特にストーリーB、ストーリーCに明確な状況設定、ターニング・ポイント、クライマックスが存在しているだろうか *サブ・プロットの解決はメイン・プロットにおけるクライマックスの近くで起こっているだろうか