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CG・アニメーション演習4-第6回-2009

物語の作り方まとめ

 考える順序

  • 魅力的なキャラクター→そのキャラにぶつけると面白そうな事件→物語
  • テーマ→コンセプト→モチーフ→キャラクター→物語
  • モチーフ→コンセプト→キャラクター→テーマ→物語
  • 描きたい絵→テーマ→コンセプト→モチーフ→キャラクター→物語

他にもあるかもしれませんが、まず「何がしたい」のか自分の中にないと考えるのが難しいです。
「〜〜したい!」という衝動を確認してください。それがないことには始まりません。
そして、それが「こんな場面が作りたい」ということなら、そういう場面を使うために何が必要か考えます。「こんなテーマを訴えたい」ということなら、そういうテーマに適したものを用意していきます。

 ネタ

心が揺さぶられるネタを使え

前にもお話しましたが、ネタが最重要ですよね。
面白い!と本当に思えるものがあれば、もう半分勝ったようなものです。

まずは、感情が揺さぶられるものを考えてみましょう。
心臓がドキドキするときの感情ってどんなのでしょうか。「恥ずかしい」「苦しい」「怖い」などでしょうね。
涙が流れるときの感情ってどんなのでしょうか。「悲しい」「苦しい」「痛い」「可笑しい」などでしょうか。

感情を考えるとき、重要なのは身体が発する表現(心臓の鼓動、涙、発汗、震え、痛み、満腹、空腹など)とそれに呼応する感情をセットで考えることです。「悲しい」とだけを考えるのではなく、どのように悲しいのか、身体の状態も一緒にイメージすることで具体的でリアルな状況がイメージできるのです。

感情が揺さぶられるネタは、たくさんの人に理解してもらえるものだと思います。

世代を意識してみる

例としてひとついうと、子供は下品なネタが大好きです。「うんち」「おしり」「○○○」。その言葉を聞いただけで笑います。
ということは、それらをネタに作れば、子供には大ウケの可能性が高いですよね。

では、高校生から大学生にウケるネタを安直に考えれば、「進学」「就職」とか「性」とかでしょうし、お年寄りの人には懐かしいもの、例えば「美空ひばり」や昭和のテレビ番組などをネタにすれば楽しんでくれるかもしれません。劇場版クレヨンしんちゃんの「オトナ帝国の逆襲」では、万博や昭和の文化をネタとして使い、親の世代の感情を直撃していました。懐かしさは感情の記憶を呼び覚まします。

流行の逆をいけ

流行に乗って作るとお客さんもたくさんいるのですが、ライバルが多く、注目されるのも難しくなりますし、作品の質も高いものが要求されます。
例えば、今「萌え」というのが流行っているとします(収束に向かってるような気もしますが…)。そうすると、みんな萌え作品を作っているので非常に目立ちにくいわけですね。評価も厳しいです。流行しているときに手を出しても遅い場合も多いでしょう。流行とは、文字通り流れ去っていきます。

ですから、あえて違う方向を向いてみましょう。

自分の経験を使う

やはりこれが基本でしょうね。
自分が経験したことをベースにする。恥ずかしかったこと、悲しかったこと、嬉しかったこと。
なぜ、そう感じたのでしょうか。記憶を元に作品に生かしてみてください。

子供の頃、熱中していたことはありませんか?
何かを集めてたり、育てていたり。スポーツなどの習い事に夢中になっていた人もいると思います。
クラスで流行っていた遊びや、家族の中で流行っていたこと、などなど。
長期、短期問わず、面白かったものには理由があります。その理由を突き詰めてみて、新しいネタにできませんか?

自分の弱点をさらけ出す

作家としてこれも大きなテーマの一つでしょう。

 絵を描け

アニメーション用の物語を作るときによく陥るのが、絵にならないものを題材にしてしまっていることに自分が気づいていないというパターン。アニメーションは映像で見せるものです。視覚化できないものは表現するのが難しいです。

絵を描きながら考えましょう。しっかりとした絵を描く必要はありません。
自分さえイメージできればいいので、ラフなもので構いません。
とにかく目に見える形のものを用意するのが創案するときのコツです。

頭の中だけで考えるのは、実は難しいのです。イメージを記憶しながら、あれこれ考えないといけません。
積極的に絵や図に書き出して考えましょう。絵や写真を用意し、それを眺めながらあれこれ考えるようにすると、そのビジュアルイメージを脳に蓄えておく必要がないので、脳の中の処理数が減り、アイデアを出すことに専念できます。

idea-sketch.jpg
今、研究生たちと企画中のアイデアスケッチはこんな感じです。
付箋に文字を書き込んで、入れ替えしたり、絵を描いてみたり、紙が足りなくなったらテープで貼って足したりして、自由に考えていきます。
頭の中だけで考えるのではなく、言葉に出し、文字として書き出し、絵を描き、図を描きととにかく脳の外に出してやる。
そうすることではじめて理解できるようになるし、新しい発見が生まれたりします。

何か思いつく→絵や図を描く→見る→意味づけ→理解

脳はこういう思考経路をたどります。描いて初めてわかることもあるのです。
特にキャラクターは描かないと具体的にどんな人格なのか理解できないので、いろんな表情を描いたり、いろんなポーズを描いたりしてください。そのうち、だんだんそのキャラクターがどのような行動をするのかわかってくるのです。


余談ですが、アイデアを広げるとき、ノートやスケッチブックは横にした方が使いやすい気がします。
縦長の紙に書くより、横長の紙に書く方がイメージを広げやすいような感じがします。
個人的なものなのかもしれませんが試してみてください。

 裏を考えろ

何か考えるときは、その対になるもの、裏も同時に考えましょう。
「正義」について考えるときは、「悪」についても考えてください。
また、Wikipedia(http://ja.wikipedia.org/)などで調べたり、
類義語辞典(http://thesaurus.weblio.jp/)などで関連用語を調べてみましょう。
よく言われるように、物事は一面だけを見ているとよくわからないのです。
何かについて書くときは、できるだけ情報を集め、多面的視点を持ってください。
主人公の立場ばかりで考えるのではなく、敵側からも考えましょう。
個人の視点ばかりでなく、もっと視点を引いて客観的にも見てみましょう。

 自分が何について考えているのか明確にしろ

自分が何について答えを出そうとしているのか、できるだけ明確にしてください。
あれこれ同時に考えようとするとうまくいきません。
問いはできるだけシンプルにしていくことで、答えが出しやすくなります。
1+1=?
だと?の部分を考えるのは簡単ですが、
1+?=?
だと、?が何になるのかわかりません。意外とこれと同じような状況に陥ってる人は多いです。
キャラクターがどんな人か決まっていない、テーマも決まっていないという状況では、物語は描けません。
そういうときに思いつく物語は、どこかで見たものを真似してしまっていて、面白くない可能性が高いです。

 限定しろ

表現するときのコツとして、条件を限定するというのがあります。
例えば、「砂しか使わない」とします。そうすると、砂の持つ可能性をあれこれ考えるようになります。
そうすることで、思いもつかなかったアイデアが生まれたりします。
これが、何でも使っていいよってことだと、その砂のアイデアは一生出てこないでしょう。

類似した考えとして、「条件をつける」というのもアリです。

  • もし、〜〜だったら

別の言い方だとルールを作るってことですね。
ルールは、作品に視点を与えます。着眼点といってもいいです。
視聴者は何をポイントに見ればいいのかわかるので、楽しみやすい。

そして、ルールは、テーマと密接な関係があります。
そのルールは、テーマを浮かび上がらせるように設定してあるわけです。

主人公の葛藤もこれらがないと表現できません。
なんらかの条件設定があり、それをクリアするためには何か犠牲になるので悩むわけですよね。

作家のスタイルという面で考えても限定というのは重要です。
いつも野球を題材にしているとか、いつも光をモチーフにしているなど、何かを限定することで特徴付けることができ記憶されやすい。
他人があまり注目していない分野を常に追求することで、オンリーワンの魅力が生まれるかもしれません。

 いろいろ結び付けろ

先週、脳は情報を結び付けていくことで記憶し、思考しているという話をしました。
物語は情報がつなぎ合わされたものであるという話もしました。
ですから、物語の中の様々なものがつながっていくと、物語は充実するということになります。
テーマとコンセプト、テーマと主人公、主人公とライバル、主人公と小道具1・2・3…、主人公と場所1・2・3…、
といった具合に様々なものの呼応関係を考えてみましょう。
登場人物が様々な関係を持ち、小道具や場所や言葉やテーマや技術や時間など、関連付けをしていくことで、
具体性が増し、自分が何を作っているのかについて理解が深まっていきます。物語も深みが出ます。

 変化に注目しろ

物語は、最初から最後にかけて何かが変化していく過程を描いたものともいえます。
何が変化するのでしょうか?
どのように変化するのでしょうか?
変化は何を生み出し、何を失うのでしょうか?
変化とテーマは重要な関連を持っています。

 行き詰ったら

  • 1〜2時間仮眠を取る(寝ると思考が整理されてアイデアが出やすくなります。寝すぎると意味なし)
  • 散歩してくる(歩いているとアイデアが出やすくなります。できれば30分以上)
  • 喫茶店や図書館で書く(携帯とかいじったりしない、漫画とかは読まない、歌詞のある曲を聴かない)
  • 風呂に入る(リラックスするとアイデアが浮かぶことがあります)

個人的に最近よくやってるのは、
散歩(ぼーっと考える)→喫茶店(紙に書く)→散歩(ぼーっと考える)→帰宅(紙に書く)
歩いてる最中にアイデアが出て忘れそうならその場でメモ。携帯で声を録音するのもアリです。
散歩で思考を整理して、喫茶店で書いて出す、のコンビネーションはいいと思いますよ。

もし、いくつかやるべきことがあるときは、一つずつ片付けるようにしてください。
例えば、2つの授業で課題が出ていて、どちらもやらないといけない。そういうときは、ToDoリストを作ります。
やるべきことを全部リストにして紙に書き出すんです。そして、それを片付ける順番決めます。
頭を使うときは、必ず一つに集中すること。そして期限を決めること。「お昼ごはんまでに書く」とか決めるんです。
あれもこれも…ってなってしまうと、いつまでも解決しません。ひとつひとつやっつけましょう。