!!!CG・アニメーション実習5 第1回 オリエンテーション [2010年度] !!進級制作展に向けて作品を作る !会場について 今年度の進級制作展は、2会場に分けて行われます。 *大津市歴史博物館 **CG・アニメーションクラス、映像・放送クラス、メディア造形クラス、グラフィックデザインクラス、イラストレーションクラス *京都市立美術館 **その他のクラス !展示内容について クラスによって、展示内容は異なっています。 GDクラスの場合は、いくつかの課題作品(パッケージ、ポスター、CIなど)をたくさん展示、メディア造形クラスはインスタレーション、イラストクラスは、壁面展示です。CG・アニメーションクラスと映像・放送クラスは、基本的には映像上映です。 !!どのような作品を作るか ー自分が作りたいものを探求ー 「作品」の考え方はいろいろですが、基本的には自発的に作りたいと思うもの、探求したいと思う事柄を表現するものを形にすることです。 僕が個人的に考える個人制作のあり方は、とにかく「やりたいことをやる」に尽きるのですが、考え方は他にもあります。 !作品の考え方 1 その一つは、就職活動を前提にした制作です。 進級制作の作品は、就職活動の際に相手企業に見せる材料になります。それを考えるならば、その業種でアピールしやすいものを作れば、スムースに活動を行うことができるでしょう。このときに重要なのは、どのようなものが望まれているかをちゃんと知っておくということです。自分で勝手に思い込んでいても、勘違いだったら全く意味がなくなってしまいます。 一つ、アドバイスをするならば、何かについて特別に力を入れる方がいいということ。 例えば、ゲーム会社に入りたいと思っていたとします。ゲーム会社では、絵が描ける人が望まれている場合が多いですが、それをアピールできるのは絵だけじゃありません。3DCGのモデリングや質感設定のクオリオティが半端じゃないほどの高さを持った映像を作れれば、それは強力な武器になることでしょう。映像を作るときに生じる大きな壁として、ストーリー制作がありますが、ここにあまり力を入れず、見せたい絵が見せられる単純なものにしておいて、モデリングや質感に大幅に力を割くようにするのです。なぜならば、ゲーム会社では、デザイナーがストーリーを作ることはないからです。デザイナーがやる仕事は絵作りであって、その他の部分はその分野のプロがやっているのです。ストーリーが面白くないと作品としては面白くないですが、割りきってしまうのです。その代わり、力を入れた部分がイマイチであれば、どうしようもないものになるでしょう。 この作品の考え方は、自分がというよりは、他者を前提にした考え方といえるかもしれません。 !作品の考え方 2 将来の利益とか、誰かが喜ぶからとか、そういう他者のことを考えないで、純粋に自分の欲求を追求する作り方です。就職とか先生にウケるからとか、そういうことを一切考えないで、自分の追求したいテーマに没頭するのです。 非常に純粋な作品が作れるかもしれませんが、独りよがりすぎて、他人が見ても全然面白くないかもしれません。その代わり、自己満足度を上げられる可能性はあります。実際に作り終えたものを見て、本当に満足できるかどうかは、作り終わった後わかるでしょう。もし、満足できなかったとしたら、自分が満足するために制作していたのではなく、やはり誰かに褒めてもらいたかったのかもしれません。 !作品の考え方 3 コンテクストを考えるというつくり方です。 コンテクストとは、文脈と呼ばれていますが、自分が発表するフィールドで今何が問題とされていて、その状況下でどのようなアクションを起こせば、面白いことになるかを想定した上で制作するという考え方です。例えば、現代美術では、西洋美術の歴史があり、その歴史において様々な作品が発表されてきました。それらは、ただバラバラに発表されていたわけではなく、その時代の雰囲気や思想を反映したものになっているわけです。社会に生きている我々は、それらを無視することは難しいわけですね。その時代、その時代に注目されているテーマがあり、その中で活動するということです。もし、無視して作っても、誰の注目を浴びること無く消えていってしまいます。 今、インターネットで発表されている絵や動画や音楽も同じことがいえます。ものすごいスピードで発表され続けていますが、注目されるものもあれば、そうでないものもあります。コンテクストが見えているかどうかが重要であるといえるでしょう。 時代の流れの中で、表現フィールドの中で自分は何ができるか、何を面白いと感じるか、ということです。 !!どのように作るか !一人で作るか複数人で作るか これまで、進級制作や卒業制作では一人で作る人が多かったのですが、映像作品、特にアニメーション作品の場合、作業量が膨大になりやすいため、手が足りないということがよくありました。そこで、グループ制作を考えてみてはいかがでしょうか。必ずしもクラス内である必要はありません。他クラスや他学年とのコラボレーションでも構いません。例えば、CGクラスの2年生と一緒にやれば、その2年生にとっては貴重な経験ができるわけですし、交流の機会にもなります。 ただ、気をつけてほしいのは、作業量の振り分けをしっかり管理してください。誰かが全然やってないとか、そういうことがあると関係が歪になります。また、その手を抜いた人は大学を出てから苦労することになるかもしれません。 もちろん、一人で作り上げてもらうのも賛成です。やはり自分でやらなければ、実現できないことも多くあることでしょう。作品が作り上がったときの達成感も高いかもしれません。さらには、後々、自分の作品として発表することができます。(複数でやってももちろん可能ですが、そのときはちょっと意味合いが変わってきます) !作品ジャンル 同じテーマであっても、アニメーションと実写映像では、やれることも、表現されることも変わってきます。ゲームにおいては、プレイヤーという存在が登場し、映像作品とは根本的に違うものになってきます。どのジャンルのものを作るのかよく考えてみてください。ちなみに、どちらでもいい場合は、できるだけ映像作品にしてほしいです。 よくあるのが、全くやったことのないジャンルに手をつける人です。 マンガを描いたことがないのに、いきなり描くとかです。やってはいけないとは言いませんが、おそらくヒドイものになります。最初からいいものが作れる人はほとんどいません。そのあまり良くない処女作をたくさんの人前に出すことの意味を少し考えてから行動に移してください。 !!スケジュールを確認 完成までの時間はおよそ90日間です。 その90日をうまく配分してスケジュールを進めてください。 12月13日月曜日が完成させる日です。その日から逆算して、何を行わなければならないか考えてください。 !!シンプルなストーリー例 物語は【発端(状況設定)】【中盤(葛藤)】【結末(解決)】で構成されます。 まず、発端と結末のリンクを考えます。「○○が起こったから、△△した。」のようにです。これで最小単位の物語になっています。 【発端】道端で女性がハンカチを落とした。男性はそれを見て、ハンカチを届ける。 最終的には、ハンカチを届けるのですが、中盤をどうするかで大分内容は変わってきます。しかし、このハンカチを届けるという動機の発生が無ければ物語にならないのです。そして、落とした女性にハンカチを届ければストーリーは「閉じる」感じがあります。なぜ、閉じるのか。それは、開いてるからです。ドアが開いてると閉めたくなる。女性がハンカチを失っているから、その失っている状態を元に戻したくなるのです。そして、それが完遂されると「終わった」感じが生まれます。さらにちょっとしたプラスアルファが何か起こると、いい話のように感じます。例えば、そのハンカチに小細工を加えたり、なぜ男性がそのハンカチを届けたかったのか理由がわかるとかです。 単純な発端を作り、それを埋めるストーリーを考えてみてください。中盤は、見せ場になるところなので、面白い絵ができるように考えてみてください。これを守るだけで、それなりに見れるものになるはずです。あまり、お話作りに時間をかけられない人や苦手な人は、この方法で考えてみてください。