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キャラクター作成(設定)

キャラクター作成について考えてみる

ストーリーの考え方として、まず先にキャラクターを考えてみるというものがあります。マンガやアニメ、ライトノベルなどはこの部類に属しているものが多いです。特に週刊連載のマンガなどはほぼ全てこの作り方で制作されています。

 魅力的なキャラクターの生きざまが魅力的な物語である

僕たちは、現実世界の人生を歩んでいますが、自分の物語の行く末を知っているわけではありません。僕たちの人生が物語だとするならば、僕たちが生きてきた後に物語が残るわけです。この考え方を、創作物の物語に適用するならば、作品内のキャラクターたちが生きた軌跡が物語だといえます。つまり、あらかじめ作られた物語をキャラクターが生きるのではなく、キャラクターが自由に行動すれば、自動的に物語も生まれるわけです。魅力的なキャラクターの人生は魅力的で面白い物語になる可能性も高いだろうということですね。

 キャラクターをつくる


  • 職業をきめる
  • 生い立ちをきめる
  • 外見的に特徴がある
  • 外見的な特徴は内面と関係がある
  • 外見的な特徴は物語内の謎と関係がある
  • 弱点がある(弱点は大きいほどよい)
  • 弱点は長所にもなっている
  • 過去の出来事が現在の状況に影響している
  • 特技を考える
  • なさけない(困った)やつである

他にもあるかもしれませんが、この辺のことが決まってくると、そのキャラクターのイメージがかなりハッキリすると思います。そして、他に登場人物がいる場合、上のいくつかの点と何らかの関係を持たせるとよいと思います。反対の特徴でもいいし、補助する形でもよいです。職業は、自分たちにとってあまり身近なものじゃない方がやりやすいかもしれません。身近なものは、どうしてもディテールが必要になってくるからです。かといって、全く知らない職業は書けないのでだめです。学生やサラリーマンや主婦などは、カテゴリーが広すぎますので、副業のようなものを考えるか、その仕事を詳しく設定する必要があるでしょう。

性格についてなんですが、カッコイイだけのキャラクターは扱いが難しいです。かっこ悪い方が使いやすいです。完璧な弱点の無い人もやめた方がよいです。弱点を描くことで人間らしさや親近感をもつことができます。カッコいいキャラクターの中に実はこんなかっこわるい部分があるんだ、というのを書くとか、自分がものすごくかっこわるいので、なんとかカッコよく見せようとしてるとか。カッコよくて強いだけのヒーロー(ヒロイン)は、売れません。脇役のやられ役とかにはいいかもしれませんけれども。

よくこのキャラクターはやさしい性格です、とかいう人がいるんですが、それでは幅が広すぎて性格を決めたことにならないです。どんな人でも、やさしい心を持っているものなのです。もう少し、具体的に行動に表せるような特徴が必要です。たとえば、ナウシカのように蟲や他人のために自分の命を投げ出せるほどやさしいとか、子供でも顔色ひとつ変えずに殺してしまうほど残虐だ、とかです。言い換えるならば、性格っていうのは「どの行動を選ぶ確率が高いか」ともいえるかもしれません。この人はこんな行動をするんですよ、という具体的なイメージが重要です。毎日、近所のゴミを拾いあつめながら登校するようなキレイ好きだ、とか。行動が伴わないと絵になりませんよね。イメージが浮かぶ具体的な行動を考えるとキャラクターが見えてくると思います。

 職業から性格を考える

大工さんだからこんな性格が似合う、先生だったらこんな性格、ヤクザだから…と職業によってイメージされる性格というものがあります。実際は様々な性格の人がそれぞれの仕事をしているわけなんですが、典型的なイメージというものがあると思います。江戸っ子の職人さんは「べらんめぇ!」ってガニ股歩きしてる、みたいな。職業を決めるとそういうイメージをつかみやすいです。実際には作品にはそのキャラクターの職業について触れられなくても設定として決めておくと、動かしやすいわけです。

重要度の高いキャラの場合、その性格をエスカレートさせたり、全く逆のイメージに入れ替えると面白くなったりします。あまり重要度の高くないキャラは、そういうトリッキーなことをすると変に目だってしまうので避けた方がいいかもしれません。

どうしてその職業につくことになったのか、そのエピソードを考えるとそのキャラのバックボーンがしっかりしてくるでしょう。お話の根幹に関わる重要な出来事もその中に含まれているかもしれません。

 ポジションから性格を考える

ポジションというのは、そのキャラクターの立場という意味です。家族の中ならば、父、母、兄、姉、弟、妹、祖父、祖母とポジションがありますよね。そして、それぞれ典型的な性格というのが想像できます。父ならば、家族をまとめ、尊厳があり、力強く、厳しいというような。もちろん例外はありますが、ここでは典型的な父親像の話をしています。母ならば、心優しく包容力があり、何でも許してくれ、世話好きというようなものです。そういう父らしい性格、母らしい性格、兄らしい性格、妹らしい性格・・・というポジション毎にイメージされる性格を使ってキャラクターをつくっていこうというわけです。母のような性格をした妹とか、弟みたいな父親とか。いろいろいじると面白いキャラクターを作れます。

ポジション的な性格はストーリー進行に沿って変化します。最初は弟のような性格だったのが、だんだん兄のように頼れる性格へ変化するような。

他にも職業によってもポジション的な性格はあります。王様、女王、社長、平社員、コバンザメ、ガキ大将、ヤンキー、ガリ勉、図書委員、柔道部…といろいろあるでしょう。典型的なポジション的性格は様々なものがあるので、探してみると面白いと思います。

 擬人化

動物、虫、置物、家具、おもちゃ、山や川などの自然……など、本来人格を持っていないものを擬人化して考えるというのも、有用な手です。擬人化キャラクターは擬人化した時点ですでに豊かなキャラクター性を備えています。たとえば、犬であれば、飼い主に忠実で社会性を持ち、うれしいときはしっぽを振ったり、と典型的な犬のイメージというのが存在するために性格付けがかなり出来上がっています。おもちゃや家具や家電製品のような生命を持っていないものも、機能や使用用途があるので、それを生かしてキャラ付けしやすいのです。ビジュアル的に、キャラクター性を見せやすいというのも大きなアドバンテージとなります。一目見ただけで、どのような機能や役割を持っているか伝わるため、映像作品向きのキャラクターが出来上がると思います。

 既存のキャラクターを参考にする

既存の物語のャラクターを自分のキャラに取り入れるというのもひとつの手です。ただし、丸ごとパクるのは問題があります。バレると視聴者に嫌われます。世の中、広いですから詳しい人にはすぐ見抜かれます。ですから、たとえ見抜かれたとしてもそれがマイナス評価にならないように使えばいいわけです。キャラクターの要素というのは、多かれ少なかれ現実の何かから作られたものです。つまり、既存のキャラも何かから要素を盗んで作っているのです。僕たちがキャラクターを作り出すとき、ポジション的性格や職業的性格、友達、親戚、時事的なニュース、童話や小説、マンガ、アニメ、映画、演劇…そういうものから考えるしかないじゃないですか。そして、それらの要素はかなりダブっています。あまり盗むことを気にする必要はありません。

既存のキャラクター要素をバラしましょう。いろいろバラしてもう一度組み立てるのです。そこには、おそらく新しいキャラクターが生まれているんじゃないでしょうか。もし、似ているものがあってもある程度はしょうがないです。完全なオリジナルのキャラクターというのはあり得ないのですから。重要なのは、役割に適したキャラクターになっているかどうかだと思います。

 キャラクターの二面性

人は時と場所によって性格が変わります。ニュース番組の殺人事件のインタビューで、「普段はとても気さくな方で、明るく挨拶してくれるような方だったんですが…」のような場面はよく見ますよね。近所の人の前と、別の場所では全く違う性格だったりします。しかし、これは殺人事件の犯人だけの話ではありません。誰だって時と場所によって性格を使い分けています。

物語のキャラクターは、これがわかりやすい形で書かれたりします。何かトリガーのようなものがあって、それに触れると人格が変わったり、姿や能力まで変わってしまったりします。極端な例が変身ものですね。ウルトラマンやドラゴンボールの孫悟空は姿がかなり変わってしまいます。酒乱系のキャラも同様です。

感情を隠すというのも二面性といえるかもしれません。嬉しいんだけど怒ってみたり、悲しいんだけど笑ったり。こういうフィルターのかかった感情をうまく表現できると人間らしさが出てきます。ツンデレっていうのもこれにあたりますね。動物とかは、この辺がストレートに出てくるんですけど、擬人化するときはこういう人間くささを出していくと面白くなりますね。

 服装・髪型・アクセサリー・体型

服装や髪型、アクセサリーなど、そのキャラクターの外見はそのキャラクターの性格や金銭的状況、社会的立場など様々なものを表しています。ヤンキーだったらこんな感じ、王様だったらこんな感じというのがあるでしょう? 服装や髪型はその人の性格を左右するほどの影響を持っています。もともと内気な人も派手目なファッションをさせると性格もハツラツとしてきたりします。新しい服を買ったら、気分が変わりますよね。その人の外見はその人そのものといってもいいかもしれません。陰気なキャラクターならば、陰気なムードを漂わせるようなものでなくてはならないでしょう。

体型では、一般的に、やせてる人は神経質そうとか、元気がなさそうな印象、太ってる人はおおらかそうで、スローペースな印象、筋肉質な人は元気そうで、ハキハキ動きそうな印象、小さい人はちょこまか動きそう、弟や妹っぽい印象……というように、体型から受ける印象というのがあると思います。大きい人は強そうですし、小さい人は弱そうです。その通りに作ればしっくりきますし、外せば意外性を狙えます。

形から受ける心理的な影響を考えれば、丸い形は暖かみ、優しさ、緩やかさのような印象、ギザギザした形からは冷たさ、鋭さ、俊敏さのような印象を感じると思います。

いまいち性格が決まらなければ、先にデザインを作ってしまうのも手かもしれません。

 弱点をつくる

誰でも苦手にしているものはあるはずです。キャラクターにも弱点は無くてはなりません。弱点はそのキャラクターへ感情移入するための入り口になりますし、弱点がドラマを盛り上げてくれます。人は弱点をカバーするために工夫したり努力したりしているはずです。そういうところに人間らしさがにじみ出てきます。もしかすると、本人は気づいてないけど、本人以外の人はみんな知ってる弱点や欠点というのもあるかもしれません。そういうのも、話を面白くしてくれます。

ドラえもんがこれほど長い間愛されているのは、のび太がダメな人だからです。もし、のび太が他のキャラだったらどうでしょうか。単発的には面白い話は作れそうですが、これほどたくさんの話を面白くするのは無理だったでしょうね。

主人公にほとんど弱点の無いかっこいいキャラを置く場合、他に僕らの視点の変わりになってくれるキャラをおく必要があるかもしれません。水戸黄門ならうっかり八兵衛みたいなキャラです。

一捻りした弱点のアイデアでは、弱点が逆に長所に変わるというのがあります。いつもは弱点なんだけど、ドラマの重要なポイントで長所として働くわけです。うまく決まるとかなり面白い効果を生むはずです。最近のマンガの例では、アイシールド21の主人公がそれに当たると思います。小さい頃からパシリとしてこき使われていて知らず知らず俊足ランナーとして成長した主人公がアメフトの舞台で誰よりも速い足を持つ男として大活躍するという話です。「情けない」が「カッコイイ」に入れ替わることによって、ただカッコイイよりも面白いわけですね。

逆に長所を弱点に変えてしまうのもいい手です。二枚目キャラの光る歯が欠けて歯抜け顔になったり、実はカツラだったみたいなのがよくある例ですね。アクションものだと、目が良すぎてそれが逆に弱点になったり、何にでも変身できるというのが仇になったりとクライマックスの逆転の一手として必須的な要素です。

 特技をつくる

誰でも得意としているものはあると思います。小さい頃からピアノを習っていたからピアノが得意とか。絵が上手かったり、歌が上手だったり、計算が得意…とかです。他に木登り、水泳、裁縫などいろいろありますが、職業ゆえの特技というものもあります。クラブ活動をやっていて、得意だというものや、パン屋だからパンづくりが上手だったりもするでしょう。学校での職業といえば、クラブ活動などがそれに当たりますし、一般社会では仕事が職業です。

キャラクターの特技を決めるときに、なぜそれが得意になったのかを考えるとバックボーンをつくることにつながるので、できればそこまで考えるとよいと思います。もしかするとその過去の出来事が他の事件や他の特技につながるかもしれません。

 重要な小道具を持たせる

先祖代々受け継がれてきたブローチや、亡くした妻からもらった壊れた腕時計、不思議な模様の刺青、身に着けて外さないサングラス・手袋・帽子、なぜか口ずさんでしまう歌、知らない人から託された手紙…などなど。意味ありげなんだけど、なんだかよくわからない物を持たせると、それをトリガーとしてお話を作りやすくなります。一見して何かおかしい、どうしてそんなの身に着けてるの?と言いたくなるようなのがオススメです。

アイテムの由来を作っておくことで、それを軸に話を進めたりできますし、お話の伏線を作ったりするのにも便利でしょう。大事なアイテムである場合、それの扱いによって主人公の心情を表現することもできます。例えば、死んだ妻からもらった時計を長年ずっと身に着けていた男が、それを誰かに譲ったり、売ったり、捨てたり…したとき、男がどういう心理状態なのか表現できます。

何かの代償として傷が残ったりするのも、お話的には使えます。体につく傷や、アイテムにつく傷、精神につく傷、社会につく傷、環境につく傷。傷は歴史や過去を表現できます。そしてそこに込められた想いを見せることができるのです。

RPGとかだとアクセサリー類や武器関係はお約束グッズです。アイテムはお話のフラグになっています。

タイムリミットやタイマーなどを設定しておくと、さらにおいしいアイテムなります。

 キャラクターを引き立てるアイデアを考える

ブランド品で身辺をかためたり、肩書きを大事にしたり、経歴にこだわったり……という心理はどこからくるのでしょうか? それは、自分のステータスを高く見てもらうための自衛策なのです。高い品物を多く身に着けることで、自分は高級なんだとアピールしているのですね。高級品の価値で自分のステータスを底上げしようとしているのです。高級品を身につけようがつけまいが、その人の能力が変わるわけではないですが、周りには自分のポジションが高いんだと知らしめることができます。他人より、より優位に立とうという心理がそこにはあるわけですね。人間は社会性をもっていますから、自分より高位にある人には従わねばならないと考えますし、無意識にそのように行動します。

これと同じことが、キャラクターの引き立てにも使われます。より強力な力を持つキャラに演出するためには、周りに屈強そうなキャラを従えさせればいいのです。子供や女性のボスの周りに筋肉質の大男が数人並んでいるような絵を見ると、このボスはものすごく強いんだろうという感じがします。巨大なオフィスビルの最上階にあるデカい社長室にいる男はものすごくやり手のビジネスマンのように見えます。と、いうようにキャラを引き立てるためには、その周辺の要素も非常に重要です。

親の七光りでキャラクターが引き立てられるというものや、有力者の友達だということで引き立てられるというのもよくあるパターンです。有力者の関係者だと知らされると途端に輝いて見えてくるというものです。これも特殊な肩書きの一種ですね。

 キャラクターの役割を考える

短編作品では、あまり多くのキャラクターを出すことは難しいのでそれほど考える必要はありませんが、典型例を例示しておきます。これらの役割をそれぞれのキャラに割り振ることでストーリーを進行させやすくなります。そして、役割は固定ではありません。ストーリー進行とともに変化したりします。また、役割は一人のキャラに複数つけても構いません。役割はかぶるとキャラもかぶってきて、ストーリー的にいらないキャラになってしまうことがありますので注意してください。

  • 主人公
  • 攻略対象
  • 主人公に対立する
    • 敵キャラ
    • 関門キャラ
    • ライバルキャラ
  • 主人公に味方する
    • パートナーキャラ
    • 仲間キャラ
    • 家族キャラ
  • ストーリーに変化を与える
    • きっかけキャラ
    • お助けキャラ
    • 裏切りキャラ
    • 賢者キャラ
  • ストーリーを補強する
    • 息抜きキャラ
    • 突っ込みキャラ
    • 動物キャラ
    • 雑魚キャラ

 キャラクターの設定項目(例)

  • 名前
  • 年齢
  • 職業
  • 体格
  • 服装
  • 性格
  • 特技
  • 弱点
  • 口調
  • シナリオ上の設定

 ビジュアルをつくる

設定が決まったら、ビジュアルを作ります。先にビジュアルがある場合もありますが、そのときも一旦設定を書き、そして再度ビジュアル化する方がいいでしょう。本当にそのデザインでいいのか検討した方がいいからです。他のキャラクターとかぶってないか、役割的に妥当かどうかなどよく考えてみてください。

ビジュアルとして描くと、さらにそのキャラクターがよくわかってきます。

デザインするときに注意したいのがアウトラインの形です。アウトラインが他のキャラと似ていないかよく見てください。同じような背格好のキャラばかりになっていませんか?体格や服装、髪型などを工夫して一目見て違うアウトラインになるように調整してください。姿勢が違うだけでも印象は変わります。猫背のやつ、背筋がピンと伸びてるやつ、がに股歩きのやつ、内股歩きのやつ…。様々な工夫を凝らしてキャラがかぶらないようにしましょう。

 キャラクターが動き始める

そうしてできたキャラクターを動かすのですが、放っておいても最初は動きません。前回もバランスが崩れることが物語のきっかけだと言いましたが、そのキャラクターが活動し始める何か、壁なり罠なりライバルなり恋人なり…主人公を悩ませたり困らせたりする何かをぶつけるか、もしくはそのキャラクターから何かを奪いましょう。命でも宝物でも何でもいいです。バランスのとれた状態を崩すきっかけを与えてください。キャラクターは苦しめた方が話は作りやすいですが、苦しみの度合は作品性にモロに影響するので、作ろうとしている作品性がおかしくなるほど苦しめてしまうと視聴者は逃げてしまうかもしれません。苦楽のバランスが大事ですね。男の子が庭の盆栽を割ってしまったことをお父さんに内緒にしているのも苦しみですし、あと1か月の命ですと医者に宣告されてしまうことも苦しみです。受験も告白するか悩むのも苦しみですよね。

 キャラクターの変化

人間は日常の様々な出来事を経験し、常に変化しています。どんなに変化したくなくても変化します。生きているとは変化しているといってもいいのかもしれません。何かを見たり、何かを聞いたり、何かを考えたり、または忘れたりすることで、脳内の脳神経は結合を強めたり、弱めたりします。体だって成長したりするのです。髪の毛や爪は伸び続けています。思考性や性格や能力も常に変化しています。

これは、キャラクターにも当てはまるのではないでしょうか。様々な経験をしたり、脇役たちから影響を受けて変化していく。何かを失い、または何か困ったことがおき、行動せざるをえなくなったキャラクターたちは、最終的にそれらを解決するだけではなく、何かを得ているはずです。もしくは、何かを失っているはずです。多くの作品の主人公は、物語が進むにつれて成長します。主人公に感情移入している視聴者は、自分の分身のようにみている主人公が成長していく姿をうれしく思うのです。

「物語の最初と最後で何が変化したのか」は、作品性にとってとても重要な要素のひとつだと思います。書き始める前に考えてできるようなものではないかもしれませんが、物語を書き進める上で、この点から見直してみると制作の指針になることもあるでしょう。

 過去の記憶・古い考えを持たせる

人は様々な歴史をもっています。どんな両親に育てられたのか? どのような育て方をされたのか? 友達との交遊関係は? 恋愛遍歴は? これまでの失敗は? これまでの成功は? と、まだいろいろ考えられますが、そのような過去の出来事や他人からの教えによって、人は考え方に偏りが生れます。それが性格につながっているのであり、主人公の葛藤の原因にもなります。トラウマや今までの個人的な常識などによって、行動に制限が加わったりして物事がうまく進められない、自分の前に立ちはだかる困難な壁を打ち砕くには、それまでの自分(古い考え)を払拭することが必要になったりします。そのためのきっかけをどのように用意するかが、葛藤に打ち勝つキーになります。

 葛藤させろ

登場人物、特に主人公には葛藤させましょう。ドラマとは葛藤を描くことだといってもいいのかもしれません。悩み、苦しみ、もがいてそれを克服していく。葛藤し…克服したーと思ったら、次の葛藤があらわれる。その波が視聴者を引き込んでいくんです。葛藤にはレベルがあり、作品全体を貫く葛藤と、比較的簡単に克服できる葛藤があります。

葛藤を与えるために、主人公を悩ませ苦しめる状況やライバルや脇役たちがいます。悩ませる相手は悪者やライバルだけではありません。いい人も恋人も両親も、あの手この手で主人公を苦しめます。恋人に自分には買えそうに無い高級品をおねだりされたり、両親に立派な医者になってくれと期待されるのも葛藤の原因になります。