映像基礎演習 第11回 CGソフトウェア紹介と作品鑑賞 [2007年度前期]
現在、映像制作において、コンピュータは無くてはならないものとなっている。カメラやモニターなどの映像機器についても知識が必要だが、それらは独学や他の専門の講義科目で学んでいただくことにして、今回はCGのソフトウェアについていくつか紹介します。
2DCG用ソフトウェア
- '''Adobe Photoshop'''
- '''Adobe Illustrator'''
- '''Corel Painter'''
- '''Flash'''
上記のソフトウェアは最もユーザーの多いソフトウェアだと思われます。デザイナーなども基本的にはこれらのソフトを使い、必要に応じて専門性の高い他のソフトウェアを使用したりします。
特にPhotoshopは2DCGにおいても3DCGにおいても欠かすことのできないほど重要度が高いものになっています。直接モニター上で絵を描けるのはもちろんですが、写真等の色補正、合成、エフェクト効果など、多岐にわたって活躍するソフトウェアです。
Illustratorは解像度に依存しない線を描くことができるので印刷媒体などでは必須ソフトといえますが、滑らかな曲線を使えることなどからイラストレーターにも人気の高いものです。
Painterは様々な画材をシミュレートすることができるソフトです。主にペンタブレット使ってPC上で絵を描くことを想定して設計されています。イラストレーターに人気の高いソフトです。
Flashは主にWEB上でのアニメーション作成やインタラクティビティのあるコンテンツを作るために使われるソフトです。Photoshop等で描いた2DCGを取り込んで画面に配置したり動かしたりできます。またFlashでも絵が描けます。
3DCG用ソフトウェア
- '''MAYA'''
- '''3dsmax'''
- '''LightWave3D'''
- '''SOFTIMAGE XSI'''
これらのソフトは3DCGに必要な作業をほぼ全て行うことができるように設計されたソフトウェアです。モデリング、質感設定、アニメーション、ライティング、カメラワーク、レンダリング、物理シミュレーションなどが1つのソフトウェアでできるように作られています。(テクスチャ画像はPhotoshop等で作成する必要があります。)
映像編集用ソフトウェア
- '''inferno'''
- '''Adobe Premiere'''
- '''Final Cut'''
- '''Adobe After Effects'''
昔はビデオ編集にはリニア編集機という複数の再生用ビデオデッキと収録用ビデオデッキを使ってダビングするシステムで行われていました。複数のビデオデッキをタイムコードで同期させることで、シンクロさせます。ただ、ビデオテープからビデオテープへのダビングの際に映像が劣化してしまうため何度も編集を行うのが難しいという欠点があります。
現在では、ノンリニア編集というのが主流で、コンピュータに付随するビデオキャプチャボードで映像をデジタルデータとしてハードディスクに取り込み、編集、加工などをすべてコンピュータ内で行ってしまいます。データ化されているので、カットの切り貼りや入れ替えが簡単にでき、画質の劣化も起こらないのです。
infernoは最高峰の映像編集システムで、特に処理速度に優れ、レンダリングに長時間かかるような複雑な合成などについても、リアルタイムあるいは短時間の処理での合成結果生成が可能です。そのため微妙な画像合成を行う際に「結果を見て手直しをする」といった手順での作業ができます。ただし、システム価格は5000万円〜1億円を越えるほどのものであり(2006年現在)、使用料金も高いです。
PremiereやFinal Cutは、パソコンでのノンリニアビデオ編集ソフトとして最も有名なソフトウェア。入力、編集、出力などほぼ全ての作業を行うことができます。
AfterEffectsは合成などの映像加工を主に行うソフトウェアです。色補正やアニメーション、エフェクト加工なども得意で、このソフトを使ってアニメ制作しているプロダクションも多いです。
フリーウェアのすすめ
上記で紹介したソフトウェアはプロとして制作している人も使っているもので、高度な処理が可能な反面、高額であることも確かです。学生の間は学生用のアカデミックパッケージというものがあったりします。これは、学生の間だけ通常よりも格安で購入して使用できるというものです。ただし、学生用は商業目的で使用してはいけないというものがほとんどですのでご注意ください。お試し用のソフトウェアがホームページからダウンロードできるものもあるので積極的に使ってみるとよいでしょう。また、学内のコンピュータにもインストールされているものもあるので、是非使いこなせるようになってください。
自分のパソコンで制作したいという人も多いと思います。ですが、これらの高額のソフトウェアを全て購入するとなるとかなりの出費です。そこで、オススメしたいのがフリーソフトやシェアウェアソフトです。フリーソフトというのは、インターネット上で無料配布されているものです。シェアウェアソフトというのは、お金を払わないと使えないのですが、安いものがほとんどです。機能的にはイマイチなものもあるのですが、中には高額なソフトにも引けを取らない機能を持つものがあります。それらを使えば、ほとんどお金を使わずにCG制作できてしまうのです。こちらでいくつか紹介してますので試してみてください。(ただし、紹介してるものはほとんどWindows用です)
【作品鑑賞】Powers of Ten
- 監督 Charles and Ray Eames (チャールズ&レイ・イームズ)
- 作曲 Elmer Bernstein (エルマー・バーンスタイン)
- スポンサー IBM
- ナレーター Philip Morrison (フィリップ・モリソン)
- 時間 8分48秒
- 制作年 1977年
『パワーズ・オブ・テン』は、チャールズ&レイ・イームズ夫妻が1968年に制作した短編科学映画である。また1977年にはIBM社の依頼により原版をマイナーチェンジし、同社の展示公開用のプレゼンテーションフィルムとして制作された。
イームズは100本を超える映画を制作したといわれているが、その中でも最も知られているのが、この『パワーズ・オブ・テン』である。シカゴの公園の男女から徐々にカメラが上空にへズーム・アウトし、太陽系、銀河、宇宙へとスケールが10の累乗で拡大していったかと思うと、今度は急速に男に戻って細胞の中まで入っていく。宇宙の果てから原子構造にいたるこの世界の全てをズームでとらえるという発想自体はオランダの教師、キース・ボークの『コズミック・ビュー』(1957年)という本をヒントにしてはいるが、イームズの実験的な映像テクニックによって、約9分という短い時間で宇宙と人間を身近に結びつけた。
Charles & Ray Eames (チャールズ&レイ・イームズ)
- Eames Shell Side Chair DSR
- Dining Side-chair Rodと名付けられたこの椅子は、イームズ夫妻の名を永遠にデザイン史に刻み込んだ。プラスティックを一体成型した座面とエッフェルと呼ばれるスチール脚部で構成されています。美しさと工業製品としての量産性も合わせ持つ完成度の高さが魅力。
参考文献
- 【WEB】Wikipedia http://ja.wikipedia.org/
【書籍】CG&映像しくみ辞典 ワークスコーポレーション
【DVD】EAMES FILMS:チャールズ&レイ・イームズの映像世界